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イヌホオズキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イヌホオズキ
Solanum nigrum
Solanum nigrum(2005年9月21日)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類I Euasterids I
: ナス目
: ナス科 Solanaceae
亜科 : Solanoideae
: Solaneae
: ナス属 Solanum
: イヌホオズキ S. nigrum
学名
Solanum nigrum L. (1753)[1]
英名
black nightshade[2]
亜種
  • S. n. subsp. nigrum
  • S. n. subsp. schultesii

イヌホオズキ(犬酸漿; 学名: Solanum nigrum)は、ナス科ナス属植物バカナスとも呼ばれ[3]ホオズキナスに似ているが役に立たないことから名付けられた[3]中国名は、龍葵[1]

リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである[4]

分布・生育地

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世界の温帯から熱帯にかけて広く分布する[2]日本では史前帰化植物と考えられていて[2]、日本全土に分布する。

主に道端民家先、荒れ地などにふつうに生える[2]。一般的な家庭の庭にも生え、雑草として家主を悩ます。

形態・生態

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一年生の草本[2]はまっすぐ、または斜めに立ち、よく分枝して、高さは30 - 60センチメートル (cm) [2]、最大で90 cmにもなる[5][3]になる。まばらに短いを生じるが、無毛のこともある[2]。茎には稜があり角張る[2]

は長さ3 - 10 cm[5][3]で、基部には1 - 5 cmの翼を持つ葉柄がある。葉身は広卵形[3]、先端は鈍いかわずかに突出し、基部は丸いかくさび状。葉縁はなめらかか、多くは波状の鋸歯がある[5][3][2]。葉質はやや厚めで濃緑色、かさついた感触で、下面の脈上に微毛がある[2]発芽したばかりの葉はナスやトウガラシと若干類似する。

花期は夏[2]。茎の節と節の途中から花柄を出し、その先端に散房状に4 - 10個のをつける[3][2]。花はナスに似ており、花冠は径6 - 7ミリメートル (mm) で白色、先が5裂して裂片の先が尖る[2]。花柄とには微毛がまばらに生える[2]雄蕊は5個、雌蕊は1個、は長さ2 mmほど[2]。黄色い雄蕊が突き出している。萼は杯状で浅く5裂する。

花後、果柄は急に下を向いて[2]果実液果)は球形で未熟なときは青く、小さいトマトのようである。熟すと直径7 - 10 mm[5][3]、色は黒く光沢はない[3]種子は1.5 - 1.9 mm程度で、果実の中に多数入る[2]。イヌホオズキの仲間は互いによく似ており区別が難しい。全草にソラニンを含むため、食べられない。

人間との関わり

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全草にソラニンを含む有毒植物である。人体にとって大変に有害である。しかし熱帯では全草を煮て食べる地域がある[6](例: ケニアキクユ人[7])。

花言葉は「嘘つき」。

諸言語における呼称

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  • 英語: black nightshade[6] ブラックナイトシェード

アジア

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インド:

バングラデシュ・インド:

インドネシア:

中国:

アフリカ

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ケニア:

近縁種

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ナス属Solanum)はナスやトマトをも含む大きな属であり、形態的には多様である。その中で、本種にとてもよく似たものはいくつかある[5][10]。区別はなかなか難しい。

日本の在来種では、テリミノイヌホオズキ英語版はやや葉が大きく、花や種子はやや小さい。明確な区別点は、本種では花序が散房状に近くはあるが、その基部をよく見ると、軸の上で互いにややずれて出るのに対して、その部分がごく短く、完全に散房状に見える点である。九州以南に分布する。現在では、昭和に発見されて帰化したアメリカイヌホオズキなどを見ることが多い。

脚注

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注釈

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  1. ^ リュウキと読むと、イヌホウズキから得る漢方薬の成分のこと[9]

出典

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Solanum nigrum L. イヌホオズキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 長田武正 1976, p. 122.
  3. ^ a b c d e f g h i 平野、林、門田 2013, p. 437
  4. ^ リンネ 1753, p. 186
  5. ^ a b c d e 畜産技術協会 1995, p. 18, 写真で見る外来雑草
  6. ^ a b 熱帯植物研究会 1996, p. 456
  7. ^ Leakey 1977, p. 1342
  8. ^ Winslow 1862, p. 840
  9. ^ コトバンク, 『世界大百科事典』第2版
  10. ^ 植村修二ほか(編著)『日本帰化植物写真図鑑 : Plant invader 500種 第2巻』 2巻、全国農村教育協会、2010年、218頁。 ISBN 978-4-88137-155-8

参考文献

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主な執筆者の順。

洋書

関連項目

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外部リンク

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