カタバミ
カタバミ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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Oxalis corniculata Fig. from book (1796)
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
標準: Oxalis corniculata L. (1753)[1]
狭義: Oxalis corniculata L. f. villosa (M.Bieb.) Goiran[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
変種・品種[5] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
カタバミ(片喰み[6]・酢漿草、学名: Oxalis corniculata)はカタバミ科カタバミ属の多年草。日本の地方名には「かがみぐさ」・「すいば」・「しょっぱぐさ」・「すずめぐさ」・「ねこあし」・「もんかたばみ」などがあり、『日本方言大辞典』[7]には 180種以上が記録されている。中国名は酢漿草[1]。中国では「三葉酸草」・「老鴨嘴」・「酸味草」・「満天星」などの別名がある。
日本では近年、よく似たオッタチカタバミという帰化種が急増している[8][9]が、古い図鑑には掲載されていないため、カタバミと誤認されている事もある。'
形態・生態
[編集]地下に球根を持ち[6]、さらにその下に大根のような根を下ろす。地を這う匍匐茎をよく伸ばし、地表に広がる[6][要検証 ]。このため、繁殖が早く、しかも根が深いので駆除に困る雑草の1種である[6]。
葉は球根の先端から束に出る[6]。葉身は、ハート型の 3枚が尖った先端を寄せ合わせた形の三出複葉で[6]、頂小葉と側小葉の区別はつきづらい。ふつう葉の色は黄緑色だが、赤紫色のアカカタバミという品種もある[6]。
春から秋にかけて、黄色の花を咲かせる[6]。花びらは 5弁[6]。日向では花を出すが、日陰に咲いてしまうと花がしぼんでしまうのが大きな特徴である。
果実は円柱状で先が尖り、真っ直ぐに上を向いてつく[6]。成熟時には動物などが触れると、自ら弾けて赤い種子を勢いよく飛ばす[6]。最大1メートル (m) 程度までの周囲に飛ばす事が出来る事も繁殖に有利となっている。
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地上部
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四つ葉
葉や茎は、シュウ酸水素ナトリウムなどの水溶性シュウ酸塩を含んでいるため、咬むと酸っぱい[6]。シュウ酸は英語で oxalic acid というが、カタバミ属 (Oxalis) の葉から単離されたことに由来する。また、葉にはクエン酸・酒石酸も含まれる。カタバミ属の植物をヒツジが食べると、腎臓障害を起こすとの報告がある[要出典]。
分布
[編集]世界中に分布、ヨーロッパ周辺という話もあるがよく分かっていない。日本では、本州から九州にかけて広く分布し、畑や庭、道ばたなどで見られる[6]。
下位分類
[編集]変種
[編集]- ケカタバミ O. c. var. trichocaulon
- 全体的に毛が少し多め[10]。
品種
[編集]- アカカタバミ O. c. f. rubrifolia
- 葉がやや小さくて赤い。通常のカタバミよりも環境に対する耐性が高く、都市部の道路路肩など、自動車の排気ガスが常に吹き付けられるような場所でも自生し、株を大きく伸ばす。
- ウスアカカタバミ O. c. f. atropurpurea
- 葉の色がカタバミとアカカタバミとの中間のもの。
- ホシザキカタバミ O. c. f. plena
- 花弁の枚数が10枚程度の重弁咲き[10]。
- タチカタバミ O. c. f. erecta
- 茎が直立する。オッタチカタバミとは異なる。
人間との関わり
[編集]茎と葉は食べることができ、熱湯にくぐらせて、「酢の物」・「天ぷら」・「サラダ」にすると、シュウ酸に由来する酸味を味わえる[6]。
全草は酢漿草(サクショウソウ)という生薬名であり、「消炎」・「解毒」・「下痢止め」などの作用があるとされる。臨床実験で肝炎にも効果があったとの報告もある[11]。民間療法で絞り汁は虫さされに効果があるとされる事があるが、『中薬大辞典』に記載は見られない。鹿児島県に伝わる民間療法によれば、草や竹などで眼球を突いたときの治療薬として、葉を水洗いして絞った汁を1滴眼にさせば、約1時間後には開かなかったまぶたが開くようになるといわれている[6]。
花言葉は「輝く心」である。
家紋
[編集]「片喰紋」・「酢漿草紋」(かたばみもん)は日本の家紋の一種である。 平安時代末期の「今鏡」にも車紋として使用された様子が描かれている[12]。前述の通り繁殖力が強く、一度根付くと絶やすことが困難であることが「絶家(家が)絶えない」に通じることから、武家の間では「家運隆盛」・「子孫繁栄」の縁起担ぎとして、家紋の図案として用いられた。[13]「五大家紋」・「十大家紋」の 1つに数えられる。
戦国大名の長宗我部元親など土佐長宗我部家の「七つ酢漿草」や新陰流である上泉信綱の「酢漿草」、徳川氏譜代の酒井氏の「剣酢漿草」・「丸に酢漿草」など、酢漿草紋を家紋とする戦国大名・武将も多い。江戸時代末期の豊後日田の儒学者である広瀬淡窓や前・大分県知事の広瀬勝貞などを輩出した商家廣瀬家も「丸に酢漿草」を用いていた。今太閤とも呼ばれた田中角栄の家紋も「剣片喰」である。旧・宇部領主安芸福原氏の酢漿草紋に因み、山口県立宇部高等学校の校章意匠および、同窓会呼称に採用されている。また、古代女性が鏡をカタバミの葉で磨いたという言い伝えに因み、日々の心の研鑚を願う思いから、私立江戸川女子中学校・高等学校が校章の意匠にも採用している。
「片喰」は、ハート型の葉が 3つ描かれる。それに丸や剣、蔓などを加えることがある。片喰の蕾を描いた「片喰の実」もある。単数のものでは、 3つから 4つまでを描く。 4つの葉を描いた「四つ葉片喰」はシダ植物のデンジソウを図案化した「田字草紋」に似る。複数のものは 2つから 7つが組み合わせられる。
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かたばみ
片喰 -
けん かたばみ
剣片喰 -
まる に けんかたばみ
丸に剣片喰 -
つる かたばみ
蔓片喰 -
やえ かたばみ
八重片喰 -
ななつ かたばみ・まる に のぞきかたばみ しちよう
七つ片喰・丸に覗き片喰七曜 -
まる に ななつかたばみ
丸に七つ片喰 -
ひめじ けんかたばみ
姫路剣片喰 -
むらやま かたばみ
村山片喰
ロゴマーク等(クローバーモチーフとの類似)
[編集]マメ科のクローバー(シロツメクサなど)をモチーフとしたロゴマーク等で、小葉部分をハート型としたものが見られる(ももいろクローバーZのロゴ[14]など)が、それに一致(小葉部分が3枚の場合)もしくは似た(小葉部分が4枚の場合)形の葉を持つのは本種である。
脚注
[編集]- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oxalis corniculata L. カタバミ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oxalis corniculata L. f. villosa (M.Bieb.) Goiran タカバミ(狭義)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Oxalis corniculata L. var. trichocaulon H.Lév. カタバミ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Xanthoxalis corniculata (L.) Small カタバミ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月23日閲覧。
- ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003 -). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2015年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 川原勝征 2015, p. 101.
- ^ 尚学図書編『日本方言大辞典』小学館、1989年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-09-508201-1。
- ^ 田中修『雑草のはなし : 見つけ方、たのしみ方』中央公論新社〈中公新書〉、2007年、70-71頁。ISBN 978-4-12-101890-8。
- ^ 岩槻秀明 2014, p. 334
- ^ a b 岩槻秀明 2014, p. 332
- ^ 江蘇新医学院編 編『中薬大辞典』上海科学技術出版社、1986年、[要ページ番号]頁。
- ^ 高澤等『家紋の事典』千鹿野茂 監修、東京堂出版、2008年5月30日、106頁。ISBN 978-4-490-10738-8。
- ^ 室町時代に描かれた「太平記」によると、正平7年(1352年)、武蔵野合戦の時に新田義興の陣中に見る事が出来る。(高澤等 著・千鹿野茂 監修『家紋の事典』 106ページに記載(東京堂出版 初版:2008年(平成20年)5月30日 刊、978-4-490-10738-8)
- ^ “タモリ倶楽部に百田夏菜子が登場 ももクロのロゴに間違いが発覚 本当はカタバミだった”. ロケTV. 2016年2月10日閲覧。
参考文献
[編集]- 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本 : 収録数600種以上!』(最新版)秀和システム〈Handy & Color Illustrated Book〉、2014年、330-332頁。ISBN 978-4-7980-4136-0。
- 川原勝征『食べる野草と薬草』南方新社、2015年11月10日、101頁。ISBN 978-4-86124-327-1。
- 平野隆久写真『野に咲く花 : 写真検索』林弥栄 監修・門田裕一 改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、346頁。ISBN 978-4-635-07019-5。
- 岩瀬徹『形とくらしの雑草図鑑 : 見分ける、身近な280種』全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2007年、67頁。ISBN 978-4-88137-135-0。
- 岩瀬徹・川名興・飯島和子『校庭の雑草』(4版)全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2009年、76頁。ISBN 978-4-88137-146-6。
- 亀田龍吉、有沢重雄『花と葉で見わける野草』近田文弘 監修、小学館、2010年、128頁。ISBN 978-4-09-208303-5。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- (英語)
- (英語)
- (英語)
- "Oxalis corniculata" - Encyclopedia of Life
- 波田善夫. “カタバミ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2011年5月16日閲覧。
- 福原達人. “カタバミ”. 植物形態学. 福岡教育大学教育学部. 2011年5月16日閲覧。
- いがりまさし. “カタバミ”. 植物図鑑・撮れたてドットコム. 2011年5月16日閲覧。