電動自転車(eバイク)ベスト13──あらゆる用途別[米国編]

バッテリー駆動のモーターがあれば、苦労なく、自転車に乗ることの恩恵の多くを楽しめる。最高のカーゴバイクから高級マウンテンバイクまで、『WIRED』US版のレビューチームが太鼓判を押すeバイクを紹介しよう。
電動自転車(eバイク)ベスト15──あらゆる用途別[米国編]
PHOTOGRAPH: CANYON

紹介した商品を購入すると、売上の一部が WIRED JAPAN に還元されることがあります。

何年もの間、電動(アシスト)自転車とは、不便でかさばり、限られた電池寿命でありながら高価なマシンのことだった。それがゆっくりと変わってきた。現在のeバイクは、軽量化され、より魅力的に、ますますパワフルになっている。乗りこなすのに体を鍛えておく必要はない。eバイクは外に出るきっかけをつくり、交通渋滞を軽減し、二酸化炭素排出量を削減してくれる。子どもを学校へ連れて行くのにわたしは毎日乗っている。とにかく楽しい乗り物だ。

『WIRED』US版のレビューチームはこの数年間、ほぼすべての種類のeバイクを試してきた。最高の重荷重カーゴバイクから高級マウンテンバイクまで、常に新しいモデルの試乗を実施している。そんなわけで、もしお探しのeバイクが見当たらないなら、後日もう一度ご確認いただきたい。eバイクを購入したという方にお勧めの記事(英語)は、最高の自転車用アクセサリー、最高の自転車用の鍵、そして高齢者に最適なeバイクだ。

※ここでは電動(アシスト)自転車のUS版レビューを紹介している。日本で電動アシスト自転車(アシスト性能に制限がある)や電動自転車(原付バイクと同等の扱いとなる)を購入する際は必ず日本の「道路交通法施行規則」を遵守し、「型式認定」を取得しているものを検討してほしい。残念ながらここに紹介するものの多くは日本でそのまま乗ることができない。それでも、海外で評価されるeバイクについての知見は『WIRED』読者にとって興味深いものとなるはずだ。


大多数向けベストチョイス

Trek FX+ 2

直販の自転車の価格は非常に魅力的だ。とはいえ、車輪がぐらつくスケートボードに子どもを乗せて丘の下へ送り出すようなリスクは取りたくないというなら、そうした購入方法は避けるべきだろう。初めてのeバイクなら、わたしが強くお勧めするのは、提携している小売業者や店舗の大規模なサポートネットワークがある老舗メーカーからの購入だ。何台か試すことができるし、自分で組み立てや修理をする必要がない。30万円ほどあれば、高品質で丈夫な初心者向けのeバイクが手に入るだろう。

ほぼすべての大手自転車メーカーが、初心者向けの通勤用電動アシスト自転車を製造するようになっている。現在、そのなかで最も手頃な価格なのがトレックの「FX+ 2」(WIRED推奨:8/10)だ。ステップオーバーとステップスルーの2つのタイプが用意されている(わたしが現在使っているのはステップスルータイプ)。重さは約18kgと、かなり軽量だ。乗り心地は、大学でずっと愛用していた軽くて汎用性の高いモデルにとてもよく似ている。トレック独自の250ワットのハブモーター、250ワット時のバッテリー、定評あるシマノの9速ドライブトレイン、高速ロードバイクホイール、油圧ディスクブレーキを搭載しており、さらには一体型ライト、ベル、リアラック、フェンダー、キックスタンドなどの追加装備も楽しめる。約10kmの市内通勤を始めるのに必要なアイテムすべてが揃っている。総合的に見て、驚くほど良心的なパッケージだ。

★ 代替案:レビューチームは、ほぼすべての初心者向けクルーザーモデルを試乗した。スペシャライズドのeバイクは、少し高価にはなるが、より洗練されてメンテナンスが簡単な内部ギアハブとベルトドライブを備えている。キャノンデールのクルーザーもチームのお気に入りだ。ジャイアントが所有するモーメンタムの「Voya E+ 3」(2,000ドル/約30万円)も同程度に軽量で、実物は本当に素晴らしい。ただし、そのスマートシフトシステムはeバイク初心者にはやや使いづらいかもしれず、基本価格には通勤用追加装備のすべては含まれていない。


最高のマウンテンeバイク

Canyon Spectral:ON CFR

トレイルでの電動自転車の存在にはある種の緊張が走る。それでも、このスポーツを愛しながら歳を重ねている人にとっては、eマウンテンバイクは好きなことを続けるための最善策だ。『WIRED』のレビュー担当者であるステファニー・ピアソンは、キャニオンの「Spectral: On CFR」(WIRED推奨:9/10)を大いに気に入っている。

Spectral: On CFRは遊び心のあるeバイクだ。フロントとリアにサスペンションを装備したフルカーボンフレームで、前方には大きめの29インチホイール、後方には小さめの27.5インチホイールを備えている。バッテリーは720ワット時または900ワット時から選ぶことができる(小さいフレームサイズは720のみ)。720ワット時のバッテリーでは、走行距離はおよそ51マイル(約80km)と見積もられている。ピアソンがハイスピードでパワフルな乗り心地を楽しみながらシングルトラックで15〜25マイル(約24〜40km)を走り終えると、使ったバッテリーは半分だけだった。いつものことだが、極めて厳しい地形で電動アシストを試す前に、新しい電動マウンテンバイクには必ず試乗し、使用感を確かめておくようにしてほしい。

★代替案:現在このモデルは在庫がないが、キャニオンによると近日中に入荷予定があるという。いまやキャノンデールの新しいeマウンテンバイクを試乗中で、近日レビューも上げる予定。トレックの「Fuel EXe」もお気に入りだ。トレックのアダプティブアシストは静かで、完璧に調整されている。モーターは大人しく、バッテリーは目立たない。乗ってみると、わたしは実際よりも少し鍛えているように見えたし、そのように感じもした。クロスカントリートレイルを騒がしく走りたくはないけれど、転ばずに頂上へたどり着くためにちょっとした手助けが必要、という人にうってつけの自転車だ。


低予算派に最高のeバイク

Propella 9S Pro V2

PHOTOGRAPH: WILL MATSUDA

自転車と同じ感覚で乗れる安いeバイクが欲しい? プロペラのこのeバイクは重さが約20kgで、車体はアルミフレームだ。85%組み立てられた状態で届くため、フォークリフトや別の人の助けを借りずに箱から取り出し、完成させることができる(メーカーは、組み立てに自信がない場合は店舗へ行くことも勧めている)。

これはクラス1の電動アシスト自転車だ。つまり、アシストできるのは時速20マイル(時速約32km)までで[編注:日本の法令は時速24kmまで]、スロットル装備はない。そのため、ペダルを漕いで9つのギアそれぞれにシフトチェンジする必要がある。ディスプレイはとても小さいが、明るくて直感的だ。乗車中の操縦は簡単。上部と側面にあるボタンひとつで電源を入れ、親指の操作で5つのアシストレベルをスクロールし、切り替えることができる。これはプロペラの低予算モデルとしてはふたつ目のeバイクで、軽量化され、アシストが従来モデルよりさらに自然に感じられるトルクセンサーを備えている。なお、同メーカーは現在も、より安価な7段変速モデルを製造している。 すでに自転車好きで、家に着くまでの残りわずかな距離に少し後押しが欲しい、または必要だ、というすべての人に1台目としてイチ押ししたいのがこのeバイクだ。

★ 代替案: ほとんどすべてのメーカーが通勤用の軽量eバイクを製造している。そんななかで、コマースディレクターのマーティン・シズマールが気に入っているのはAventon Soltera.2(1,199ドル/約18万円)だ。350ワットのモーターと新型トルクセンサーを搭載した、ややパワフルなクラス2の電動自転車である。こちらも見栄えがして軽く、操作性が高い。自宅への帰り道で、友人たちに遅れを取らないようちょっとしたブーストが欲しいだけなら、これがもうひとつの選択肢になるだろう。


最高のユーティリティバイク

Specialized Globe Haul ST

PHOTOGRAPH: SPECIALIZED

手頃な価格で、日常使いとして信頼でき、クルマの代わりになる。そんなeバイクの大手自転車メーカーからの発売をわたしは心待ちにしていた。スペシャライズドの「Globe Haul ST」(WIRED推奨:9/10)は、同社初の軽荷重カーゴeバイクであり、決定版である。まず、さまざまな身長に対応できる。そして700ワットのパワフルなモーターが頼るのは、表記の60マイル(約97km)をはるかに超えて並外れた走行距離をもつIPX7等級のバッテリーだ。ディスプレイは直感的で、ペダリングは自然に感じられる。コンパクトな20インチのマルチテレインホイールは操作性に優れ、道路、土、砂利の上で安定感を得ることができる。

専用アクセサリーはフェールラーベンのようなパートナーを引き入れており、多用途に使えて魅力的だ。不安なのは、サスペンションとベルトドライブがないというマイナーな2点だけである。前者は、たくさんの物や人を運ぶときに影響する可能性がある。しかし、スペシャライズドは高品質のコンポーネントを使用しており、日常的にメンテナンスを受けられる提携ショップの大規模ネットワークをもっている。わが家では、出かけるときに誰もが(わたし、夫、そしてふたりの子どもたち)使いたがるのがこの自転車だ。

★ 代替案:より大きなホイールや、もう少しパワーのある自転車がお好みならAventon Aventure.2WIRED推奨:8/10)がお勧めだ。レビュー編集者のパーカー・ホールが最近試乗し、大変気に入っていた。直販タイプのeバイクだが、ホールによれば、よいつくりで組み立ても簡単だという。彼はダブルパニエを付けて夏の間ずっと乗っていたが、Aventonには専用アクセサリーも幅広く用意されている。


最高の万能型eバイク

Specialized Turbo Tero X 4.0

PHOTOGRAPH: SPECIALIZED

熱心なサイクリストなら、おそらくすでに「n+1」ルールをご存知だろう。所有している自転車の数を「n」として、それに1を足した数が所有すべき台数というものだ(もう1台の購入を促しているともいう)。あなた自身や身近な人々がもし、圧倒的な1台を得て中毒性のある新車購入のサイクルから抜け出したいのなら、スペシャライズドの「Turbo Tero X」(WIRED評価:8/10)は最良の選択肢かもしれない。自社のアイコニックなマウンテンバイクから、どこへでも乗れて何でもこなせる自転車としてスペシャライズドが新たにつくり出した電動モデルである。長く安定したフレーム、大型のマレット仕様ホイール、カスタマイズされたフルサスペンションにストレートハンドルを備え、ベル、ライト、泥除け、ラックなど通勤に必要な多数のアクセサリーが揃っている。

理論上、250ワットのモーターと730ワット時のバッテリーは、想像できる通り強力でも長持ちでもない。しかしスペシャライズドの「ミッション・コントロール」アプリと12段変速機を組み合わせれば、節約したいバッテリー量や目標の心拍数などを計算に入れ、必要なアシスト量を正確にカスタマイズすることができる。ディスプレイには、1分間当たりの回転数(rpm)が80〜100rpmでペダルを踏むとバッテリーが最適化されていることまで表示される。これに対し、レクリエーション用途での回転数目安は60rpmだ。ただしこの自転車は58ポンド(約26kg)近くあり、軽量ではない。4,500ドルという価格も強烈だ。


ロードレーサーのための最高のe-bike

Santa Cruz Skitch

PHOTOGRAPH: WILL MATSUDA

もしあなたがロードサイクリストで、25kmの通勤時や帰宅途中の公園への寄り道に使える最軽量eバイクをお探しなら、サンタクルズの「Skitch」(WIRED推奨:9/10)が理想を叶えてくれるだろう。超軽量カーボンファイバー製フレームに、同じく軽量だがパワフルなファズアの60モーターと430ワット時のバッテリーを備えている。これはクラス3のeバイクで、わたしがこれまで試したなかで最も軽い電動自転車でもある。試乗車にはあらゆる備品が付属していた。ドロッパーシートポストや、露出したケーブルを介することなくギアを簡単かつシームレスにクリックすることができる、非常に豪華なスラムのボタン式トランスミッションなどだ。近所でダッジの「Challenger」にレースを挑んだり、シクロクロスのコースを走ったりするのは楽しくてたまらなかった。

もちろん、6,000ドル(約100万円)という費用を思うと、上機嫌の通勤を台無しにしかねない。真夜中にセブンイレブン前でフェラーリを駐車し、放置するような人はいないだろう。それでも、通勤距離が10マイルで鍵付き倉庫を使えるのなら、わたしのイチ押しはこれだ。

★ 代替案:わたしはSkitchを気に入っているが、通勤用の軽量eバイクが欲しいだけで、数十万円は浮かせたいという場合、スペシャライズドの「Turbo Vado SL(WIRED推奨:9/10)でも十分だろう。この車種はカーボンファイバーの代わりにアルミニウム製で若干重くなり、モーターのパワーはわずかに落ちる。それでも、かなり楽しい乗車時間を過ごせるはずだ。


最高のカーゴeバイク

Xtracycle Stoker

PHOTOGRAPH: STOKER

タンデム自転車では、前に座って操縦する人をパイロット、後ろでペダルを踏むだけの人をストーカーと呼ぶ。これが、エクストラサイクルのロングテール型eバイクの名前の由来だ。後ろの座席にいる人が頑張らなければいけないというわけではない(これはeバイクだ!)。「Stoker」は、大人ふたりで快適に乗ることができるという意味での名称なのだ。パイロット席の大人は、ぐずる子ども数人や1週間分の食料品、1泊分のキャンプ用品、または園芸店で買った袋入りの土を運ぶこともできる。リアホイールを包みこむリアフットレストと拡張可能なカーゴネットは標準装備だ。そのほかに、パッド入りのリアセット、ハンドレール、パニエ、フロントラックなどのオプションで飾り立てることもできる。その汎用性の高さから、学校の送り迎え以外でも家族用eバイクを利用したい人にとって、ベターな選択肢のひとつだ。

大人ふたりとバックパックふたつで約180kgの最大積載量を満たしても、Stokerの走行は安定したままで安心感がある。これは低重心を実現する24インチホイール、そして大きなトルクと400%のペダルアシストを可能にするシマノの「EP8」ミッドドライブモーターのおかげだ。630ワット時のバッテリーは、1回の充電で約45マイル(約120km)(安全運転なら60マイル/約150km)走ることができる。ほとんどの人にとって、これは1週間か2週間分の走行距離だ。Stokerを快適に操縦するための身長は168cm以上であることだけ注意が必要だ。身長がそれ以下なら、同じモーターとバッテリーを搭載するエクストラサイクルの「Swoop」(4,499ドル/約70万円)をチェックするべきだろう。構成オプションの多くも同じだが、フレームはステップスルーでStokerより小さなホイールを使用してしている。──TEXT: MICHAEL CALORE


最もお手頃なカーゴバイク

Aventon Abound

PHOTOGRAPH: MICHAEL CALORE

価格競争力のある消費者直販eバイク市場で、この業界リーダーが提供する初のカーゴバイクは柔軟性の習作である。子どもを学校まで乗せていくなら、長いリアプラットフォームに後部座席(63ドル/約9,800円)とハンドレール(122ドル/約19,000円)を追加するといいだろう。穏やかな子なしライフなら、食料品や園芸用品の運搬用に、(70ドル/約11,000円)や後ろ(159ドル/約25,000円)にラックを取り付けよう。簡単にまたげるステップスルーフレームの身長制限は約190cmだ。アバウンドのペダルアシストシステムには、トルクセンサーを備えたリアハブモーターが使用されている。クランキングの強さに基づき滑らかで均一なブーストを加える設計だ。4段階あるアシストのうち最も低いレベル、すなわち低パワーでありながら機能的なエコモードでは、1回の充電で50マイル(約80km)走ることができる。走行可能距離は、約200kgの最大積載量まで積み込んだり、バーに取り付けられたスロットルを大胆に操作したり、ターボモードの最大速度である時速20マイル(時速約32km)で町を駆け巡ったりした場合に低下する。それでも、720ワット時のバッテリーで20マイル近く走ることが可能だ。──TEXT: MICHAEL CALORE

★ 代替案:レクトリックの「XPedition」(1,399ドル/約22万円)にも乗ってみたところ、素晴らしかった。わたしが経験したなかでは、箱から出して組み立てるまでが最も簡単なカーゴバイクだ。さまざまな乗り手にフィットし、膨大な数の専用アクセサリーが用意されている。唯一の欠点はというと、人気があり過ぎていつも在庫切れになっていることだろう。


ファミリー向けの最高のカーゴeバイク

Urban Arrow Family Electric Cargo Bike

PHOTOGRAPH: URBAN ARROW

バックフィーツ(フロントに箱が付いたオランダ式カーゴバイク)といえば、わたしがいちばん気に入っていたのはライズアンドミューラー(R&M)の「Load」だった。しかし、アーバンアローの「Family」(WIRED推奨:8/10)の方がずいぶんと安い。しかも、快適さや操作性など、Loadで魅力を感じていたのと同じ機能が数多く提供されている。ただしサスペンションは付いていないため、平らな道路での走行に適しているだろう。

エンビオーロの連続可変シフトレバーは本当に素晴らしい。これを使うと、停止中のシフトダウンが可能になる。ペダルを漕ぎながら必死にシフトダウンしようとして車体をグラつかせ、子どもたちを怖がらせなくてもよくなるのだ。ウォークアシストを使って都合のいい場所まで自転車を押し、停止したままシフトダウンができる。その後、自分で選んだトルクとパワーレベルまでペダルを踏めばよい。わたしはこのシステムで坂道を上り、カーゴバイクに乗っていない人たちを負かしたことがある。ボッシュの「Performance」モーターは現在在庫切れしているが、さらにパワフルなボッシュの「Cargo Line」モーターが購入できるかを必ず確認しておくべきだろう。

★ 代替案:わたし自身が以前、家族(そして積荷をポートランド中へ)を運ぶために愛用していた自転車はターンの「GSD S00」(WIRED推奨:8/10)だったことにここで触れておこう。ボッシュのCargo Lineモーターには、わたしと子どもふたりと一緒にバックパック、食料品、備品のすべてを乗せ、毎日学校まで軽々と往復するのに十分なパワーがある。それに、車庫の中で大してスペースを必要としないほど小さめだ。初めて乗ったのは娘が3歳の頃で、彼女が7歳になったいまでも現役だ。


最高のマイクロeバイク

JackRabbit Bike

PHOTOGRAPH: JACKRABBIT

電動自転車の次の大きなトレンドは、ごく小さな個人用車両であるマイクロモビリティだ。超小型バイクは、より手頃な価格で運搬しやすく、簡単に保管できる。そしてミニサイズのあらゆるものがそうであるように、本当に魅力的で購買意欲をそそる。

これまでのところ、わたしがイチ押しするマイクロバイクは「JackRabbit」(WIRED推奨:7/10)だ。約10kgと驚くほど軽く、箱から出して簡単に組み立てることができる。コンパクトに折りたたみ、収納スペースを節約することも可能だ。ペダルは付いていないので、あごに膝をぶつけることもない。代わりに、加速時には親指スロットルを切り替える。唯一の注意点は、非常に小さなバッテリーとモーターがあまり強力ではないことだ。 わたしの体重は52kgしかないのに、スロットル操作のみでは時速10マイル(時速約16km)ほどしか出すことができない。また、約10マイルという走行可能距離は、ほかの推奨自転車に比べると頼りない。


最高の折りたたみ式eバイク

Montague M-E1

PHOTOGRAPH: MONTAGUE

『WIRED』のレビュー編集者ジュリアン・チョッカットは、レビュー記事のなかで「M-E1」を「完璧にとんでもなく近い」と評した(WIRED推奨:9/10)。折りたたみ式自転車はアパート住まいに最適だ。しかし、一般的に小型である。身長約190cmのジュリアンが乗って勇ましく走り回ると、ほとんどの場合、楽しげなピエロのように見える。

M-E1はフルサイズのeバイクで、折りたたみ式でないバイクとほとんど見分けがつかない。コンポーネントには、シマノのミッドドライブモーター、快適なサドル、シマノの油圧ディスクブレーキなど、信頼できるメーカーのしっかりした製品が採用されており、それにあらゆる付属品(一体型ライト、フェンダー、取り外し可能なバッテリーに読みやすいディスプレイ)が揃っている。最も重要なのは、ジュリアン曰く、恥ずかしくて死にそうな思いをせずに乗り回せることらしい。


より手頃な価格の折りたたみ式自転車

Lectric XP 3.0

PHOTOGRAPH: LECTRIC

WIREDのレビュー編集者ジュリアン・チョッカットは、ニューヨーク市内のあちこちで数え切れないほど多くのレクトリック社製自転車を目にしている。それも当然だ。レクトリックは、消費者直販で最も手頃な価格の折りたたみ式eバイクを販売しているからだ。最近発表されたレトリック「XP 3.0」 (WIRED推奨:7/10)は、従来品の長所はそのままに、より多くを提供するモデルだ。優れたサスペンション、満足度の高い走行距離、厚みのあるファットタイヤを備え、充実した通勤用アクセサリー一式も用意されている。そして新たに搭載された油圧ブレーキは、この価格帯では注目に値する仕様だ。

ただし、非常に重く、折りたたみにくい点は変わっていない。ジュリアンによると、折りたたまれた状態での充電ポートへのアクセスも困難だという。さらに重要なことに、彼はレクトリック製自転車でいくつかの品質問題を経験している(今回はフロントタイヤに空気漏れがあった)。とはいえ、価格は適正だ。上階へ自転車を運ばなくていいアパートに住んでいるなら、これはあなたにぴったりの選択肢かもしれない。

注意:レトリックは最近、2022年11月1日から2023年5月6日の間に販売されたレトリック「XP 3.0」について自発的なリコールを発表した。対象になったモデルは、XP 3.0、XP 3.0 Long- Range、XP Step-Thru 3.0、XP Step-Thru 3.0 Long - Rangeである。フロントおよびリアのメカニカルディスクブレーキキャリパーが故障し、乗り手の怪我につながる可能性があるという。上記モデルのいずれかを所有している場合は直ちに使用を止め、こちらをクリックしてクレームを申請いただきたい。


最高の三輪自転車

SixThreeZero EvryJourney Tricycle

PHOTOGRAPH: SIXTHREEZERO BIKE CO.

真っ直ぐにバランスを取ることを何より優先したいなら、三輪自転車を検討するのがいいかもしれない。シックスリーゼロのeバイクなら、直立姿勢を維持するために足でバランスを取らずとも、真っ直ぐ座った状態を快適に保たせてくれる。250ワットのモーターを搭載し、充電すると40マイル(約64km)走ることができる。スロットル使用時の最高速度は最大で時速15マイル(時速約24km)だ。大きなリアバスケットには、大量の食料品のほかに子犬さえ乗せられる。ただし、このeバイクの重量は30kgを超える。かなりかさばるため、保管には車庫が必要になるだろう。レビュー担当者のステファニー・ピアソンが述べているように、三輪は二輪と同じくらい楽しめる乗り物だ。

★代替案:レトリックの「Trike」(1,499ドル/約23万円)(WIRED評価:6/10)について、『WIRED』のレビュアー担当者であるジュリアン・チョッカットはエレベーターのない住宅に住んでいる人向きではないという。重くてかさばり、折りたたむことはできても扱いが難しいからだ。ただし車庫がある場合は、二輪車で路上に出るのが困難な人にとっての手頃な選択肢になるだろう。Trikeには独自の課題があるものの、レトリックの製品には優れた走行距離、十分なパワー、強力なブレーキがある。さらに、付属品にはラックやサポートシートまである。


入賞

レビューチームが乗りたいその他のeバイク

PHOTOGRAPH: BROMPTON ELECTRIC

レビューチームは、この数年で多くの自転車を試してきた。上記で個別に紹介できなかったものの言及に値する製品を次の通り挙げておこう:

  • Gazelle Eclipse(5,999ドル/約95万円):ボッシュ・システムの素晴らしさを知りたいなら、Eclipse(WIRED評価:8/10)はRadster Roadの高価版だ。 よりよいシフター、よりスマートなモーター、そして塗装さえもベター。ただし、値段はもっと高い。
  • Heybike Tyson(1,700ドル/約26万円):大金を使わずに、多くを手に入れることができるファットタイヤの折りたたみ式eバイク(WIRED評価:6/10)。サスペンション、方向指示器、スロットル、それにいままで聞いたなかで最も騒々しいホーンが付いている。コンポーネントは超高品質とは呼べないが、手頃かつ快適に、eバイクの世界へ足を踏み入れることができる製品だ。
  • Wing Freedom X(1,298ドル/約20万円):同僚のマット・ジャンサーは、ウィングのFreedom X(WIRED推奨:7/10)が軽量かつパワフルで、非常に手頃な通勤用eバイクであるという。
  • The Gocycle G4I(5,999ドル/約95万円):ハイエンドで素早く折りたためる贅沢なeバイク。元マクラーレンのエンジニアによる設計だ。より静かに、より軽くなったこのモデルは、改良されたトルクと新しいカーボンファイバー製フロントフォークを備え、さらには価格も上昇した。
  • The Bunch Original Electric Cargo Bike(5,399ドル/約85万円):わたしよりも家族が関心をもっているメーカーだ。やや高価ではあるが、ヨーロッパで見られるような標準的ボックスバイクである。平坦な地域に住んでいて、あまり速く移動する必要がなければうまく使いこなせるだろう。

レビューチームが敬遠するeバイク

遠慮しておこう

PHOTOGRAPH: CIVILIZED CYCLES

わたしたちは新しい自転車を試すのが大好きだ。しかし不運にも、自転車の方がわたしたちを好いてくれるとは限らない。

  • Niu Electric Bike BQi-C3 Pro(2,199ドル/約34万円):この自転車に試乗したコマースディレクターのマーティン・シズマールからは不満が延々と続いた。乗車ポジションはあまりにアグレッシブで、フレームにはウォーターボトルやパニエなど一般的なコンポーネントを取り付けることができない。ディスクブレーキは、時速28マイル(時速約45km)からの停止に効果を発揮しなかった。
  • The Civilized Cycle(4,999ドル - 約78万円):大人ひとりを後ろに乗せられるeバイクで、ベスパのようなスタイルを楽しみたい人にはいい選択肢になる(WIRED評価:7/10)。ただし、身長が178cmより低いと乗ることができない。なるほど。
  • The Retrospec Jax Rev(1,200ドル - 約20万円):洗練され、スタイリッシュなこの折りたたみ式自転車を推奨リストに加えたかったのだが、耐久性についての不安を拭うことができなかった。

いくらかかる?

自転車資金のつくり方

PHOTOGRAPH: ANDRIJA NIKOLIC/GETTY IMAGES

eバイク購入の可能性について誰かと話すたび、最大の障害は大抵、価格であることがわかる。わたしたちは現在、より求めやすい価格のeバイク紹介記事に取り組んでいるが、eバイクのことはおもちゃではなく、乗り物として捉えている。子どもを学校まで乗せて行ったり、ヘルメットだけを防御手段として時速40kmで丘を走り降りたりする場合、ブレーキに出す費用をけちりたくはないはずだ。

6,000ドルの劣化したガソリン車なら、月賦払いで簡単に手に入る。ひとえにリーズナブルな自動車ローンというオプションがあるせいで、2,000ドル(約30万円)のeバイクをとてつもなく高額に感じるのだ。多くの自治体が現在、eバイクの購入に対し払い戻しや税額控除を提供するインセンティブプログラムを実施している。自転車メーカーや小売業者のなかには、企業を通じてローンを提供しているところもある。あなたの銀行は、自動車ローンプログラムでeバイクを対象にしているかもしれない。おそらく、考えているより多くの選択肢が見つかるだろう[編注:日本でも自治体によって電動アシスト自転車向けの補助金制度がある]。


考慮すべきアドバイス

電動自転車の仕様を理解しよう

PHOTOGRAPH: NEIL GODWIN/GETTY IMAGES

近所を走る自転車を見たことがあるだろう。とても楽しそうで、自分も欲しくなる。しかし、eバイクの仕様と価格帯は実にさまざまだ。わたしがあなたの立場なら、次のように考えるだろう。

自分で組み立てることができのか

現在、多くの手頃な価格の自転車が消費者に直販されるようになっている。つまり、あらかじめ調整済みか部分的に組み立てられた状態で箱詰めされた製品が届くのだ。ピーター・フラックスが最近『Bicycling』誌で指摘したように、そうした自転車は、大手メーカーの自転車に設けられているような検査や審査を受けていない。それほど頻繁に乗るつもりがないか、長距離を走る予定がないか、または自分で自転車を修理した経験があるという場合を除いて、お勧めしたいのは販売網をもつ老舗メーカーを利用することだ。また、スマートeバイクもお勧めしない。VANMOOFの最近の破綻でわかるように、会社が倒産してしまうと、スマートeバイクの修理には苦労する可能性がある。

一部の自転車がより高額なのはなぜか

より高額なコンポーネントを備えているからだ。ボッシュやシマノなどのハイエンドブランドがつくるバッテリーやモーターである。それらは大抵の場合、よりパワフルで、走行距離も90〜120マイル(約145〜190km)と長いことが多い。これに対し、求めやすい価格のeバイクで見られる走行距離は15〜20マイル(約25〜30km)だ。ただし通勤距離が短い場合、これは問題にならないこともあるだろう。

居住地域はどのような地形か

平坦な地域で暮らしているなら、ヨーロッパの速度基準である250ワットのモーターでおそらく問題ない。しかし、丘の近くに住んでいたり大量に荷物を運んだりする場合には、500ワットや750ワットのモーターをお勧めする。さらに、通行人へ突っ込むことを防ぐ油圧ディスクブレーキなどの追加装備をいくつか検討するとよいだろう。

また、ハブドライブモーターの代わりにミッドドライブモーターを探してみるのもよいだろう。ミッドドライブモーターは自転車の中央にあるため、より自然に感じられる。ハブドライブはリアアクスルにあり、乗り手の重心を後方に移動させる。これには慣れが必要になる。急な坂を登るときには、移動した重心のせいでバランスが崩れることもある。

安全のための基本的なヒントに従うこと

何から始めるべきかわからないなら、自転車支援団体のPeopleForBikesが最近発表した安全教育プログラム、「E-Bike Smart」を参考にできる。これは、同団体が米国自転車利用者連盟(League of American Bicyclists)およびバイシクル・コロラド(Bicycle Colorado)と共同で作成したものだ。自転車のバッテリーを充電したまま一晩中放置しないこと。監視の目がないところで子どもを自転車に乗せないこと。仮にモーターのおかげで動くのだとしても、80ポンド(約35kg)の子どもに65ポンド(約30kg)の自転車を操縦させないこと。そして、どんな状況だろうと、常にヘルメットを着用すること。お分かりのはずだ。

(Originally published on wired.com, edited by Michiaki Matsushima)

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